そういえば、過去にこんなこともありました。お風呂上がり、眼鏡拭きが見当たらず、たまたま子どものパジャマが眼鏡拭きと同じ素材だったので、

「ちょっと貸して」

と言って眼鏡を拭かせてもらいました。そして、

「ありがとう、お母さんめっちゃ助かったわ」

と言うと、すかさず、

「うん」

とすごい誇らしげな顔をする子ども。まだ一歳ぐらいでした。そして、その後は毎日お風呂上がりに、必ず自分のパジャマを差し出して眼鏡を拭かせてくれました。

一歳でも[自分はお母さんの役に立っている] [お母さんは喜んでいる] → [ぼくもうれしい]という気持ちになるんです。これは人間の本能です。相手の役に立ち、喜んでくれて自分もうれしい。これは、仕事のやりがいにも相通じるものです。

ところでこの言葉、皆さんの中にも聞いたことがある方がいらっしゃるかと思います。

「やってみせ 言って聞かせてさせてみて ほめてやらねば人は動かじ

 話し合い耳を傾け承認し、任せてやらねば人は育たず

 やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らす       山本五十六 」

皆さんもそうだと思います。何か頼まれごとを一生懸命やったのに、やれ、

「要領が悪い」

「ちゃんとできてへん」

「やり直し」

などと言われたら、一気にやる気を失いますよね。逆に、

「ありがとう」

と言って感謝され喜んでもらえたら、[やって良かった、またやろう]、と思いますよね

[誰かの役に立ててうれしい]、という気持ちが、[役に立っている自分は、居てもいい存在なんだ]という自己肯定感に変わっていきます。学校に行っていない子は、[みんなが行けている学校に自分だけ行けない]と思っていて、概ね自己肯定感が低い子が多いです。おうちでは、大いに子どもにお手伝いをしてもらって、助けてもらいましょう。お互い、うれしい、良かった、で幸せになります。最初だけちょっと大変ですけどね。

家事には、創意工夫の余地がたくさんあります。子どもがお手伝いをすることで、自己肯定感が高まると共に、試行錯誤、創意工夫することを覚えます。これ、実は社会に出てからめっちゃくちゃ役立つんです。だから、私は最初に手間がかかっても、あえてお手伝いをお願いしてきました。うちの子どもたちも今では、自分でわらび餅を作ったり、魚を丸ごとさばいて、刺身、肝の煮つけ、粗(あら)のみそ汁など作ってくれますよ。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『子どもが不登校になったら』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。