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この話は、実話である。

私は、幼少期より、いろいろな人にいじめられていた。幼少期~高校生までの私は、とにかく「人に怒る」という感情がなく、喧嘩になればいつも一方的にやられ、また、負けた相手に苦手意識を持ち、常にマウントを取られていた。

なぜ、私がおとなしいのに喧嘩に巻き込まれていたかと言えば、体格が貧相で(特に背が低い)気が弱いこともさることながら、発達障害の一種、「ADHD」であったことも一つの原因であったと思われる。

ADHDとは、注意欠陥多動性障害とも呼ばれ、「落ち着きがない」「計画性がない」「協調性がない」「集中力が続かない」と一般的に言われているが、「興味のあることには、異常な集中力を見せる」「享楽的で、あまり悩まない」といった良い面もある。

私の場合、授業中に席を立つことはなく、先生の指示を聞けないといった症状はないものの(先生は皆厳しく、怖いイメージがあったため)、授業中はいつも上の空で、授業に関係なく、楽しい想像ばかりしていた。

おそらく、最初は授業に聞き入っていたが、飽きてしまい、20分くらいで妄想の世界に入ってしまったのだろう。授業中に常に嬉しそうにしている生徒はほかにいなかったと考えられるため、おそらくは、浮いていたのだ。

また、今でもそうだが、言動や行動に気を遣うこと、周りを見て判断することが難しく、その点は先生によく注意されていた。特に、周りのことを考えない言動は、人を傷つけ、反感を買っていただろうが、私にはそれを察知する能力はなかった。

印象的な事件として、小学1年生のときに、掃除の時間が15分設けられていて、終われば帰れたのに、私は先生に褒められたくて、掃除に”興味を持ってしまった”。こうなったら止まらず、15分が過ぎ、皆が帰り支度をしても、まだ雑巾と戯れている私がいた。

先生が、「もういいよ」と言っても、熱心に掃除をして皆の帰る時間を大幅に遅らせてしまっていたが、当時の私にとっては自分の評価が上がり、正しいことだと勘違いしてしまっていた。