リーゼント

夜中に歩いていると職務質問にあうこともあるが、名前を聞かれて早く帰るよう言われるだけだったから、特に問題にならなかった。

週末になると隣町の不良も集まり、いろいろなことを覚えていく。けんかのやり方、万引きの仕方、自転車や原チャリの盗み方。この時代の自転車のカギは、身近なもので簡単に開けることができた。

それがおもしろくて調子にのって自転車をたくさん盗んでいると、警察に見つかり、家庭裁判所の審判を受けることになった。審判では罪をとがめられたが、もうしないように、と言われただけだった。

「鑑別所にも入らなくていいのか」

ちょっとがっかりだった。警察に補導されることも増えていくが、捕まることはちっとも怖くなかった。むしろ家にいるより少年院に入った方が楽だと本気で思っていた。

週明け学校に行くと、教室に入る前に「お仕置き部屋」に連れて行かれる。担任はリーゼントの赤ジャージだ。容赦なく殴られる。

当時は体罰OKの時代だ。私たちも殴られることに対して違和感はない。彼は本気で怒った時におでこに血管が浮き出る。

これを見て、彼の怒りレベルを測っていた。

教室に戻ると同じく怒られたであろうゆうすけがこっちを見ている。どういうわけか、席がいつも近かった。

「おまえ何発殴られた?」

「7回やったかな?」

「うわ、ずるい。男女差別や。俺蹴られたし、10発以上やし!」

「はは~どんまい(笑)」

お仕置きからの雑談。これがまた楽しい。初めて殴られた時は痛かったし怖かったが、2回目以降は痛みもそんな感情もなくなる。あーやってしまった、あの時あいつの逃げ足が遅いからこんなことになるんよ、と、殴られても反省なんかあるわけない。

意外に思うかもしれないが、リーゼントはいい先生だった。担任が変わってから、学級崩壊はなくなり、普通の授業ができるようになった。あの頃の子どもたちは怖い先生だと言うことを聞く、そういうものだった。

リーゼントは厳しかったがイベント好きで、運動会で優勝した時、コンビニで全員分のジュースを買ってくれた。

当時学級委員だった私は買い物の手伝いをした。こういう非日常が楽しかった。