学校自体は楽しかったが、夜中遊んでいて眠いのと、週明けにいつも怒られるので学校に行くのが億劫になり、一度だけ登校しなかったことがある。

すると突然リーゼントが家にやってきたのだ。突然車に乗せられ、一言も話さなかった。

学校に連れて行かれるとばかり思っていたが、着いたところは喫茶店であった。ついてこい、みたいな目線だったので、私はそわそわしながら店に入った。

しかしリーゼント!! いつもの赤ジャージではないか。しかも私は制服だし、目立ちすぎる。店員も不審に思ったのだろう、援助交際目撃! みたいな顔でチラチラこっちを見ながら、席に案内した。

席についてメニュー表を渡され、リーゼントは何を頼んでもいい、と言った。

最初にパフェが目に入ったが、もぐもぐしながら説教されるのは勘弁だな、と無難にオレンジジュースを頼むことにした。リーゼントはアメリカンコーヒーか何かを注文していたような気がする。

「おまえ、今日怒られると思って休んだんやろ」

図星だった。静かにうなずくと、

「今日は怒らん。でも何があっても学校には来い。事件か何かに巻き込まれたらいけんやろ」

その日リーゼントと話したのはそれだけだった。何だかよくわからなかったが、学校に行こうと思った。

仲間

夜はよく大津の家に集まった。

大津は母子家庭で、アパートの2階に母と妹、1階に大津が住んでいて、実質1人暮らしのようなものだった。晩御飯にありつけないことが多く、みんなの小銭を集め、近くのコンビニでカップ麺を買う。そして朝までだらだらくだらない話で盛り上がる。

男友達とつるむようになってから、彼らの中では、私は男として扱われた。そっちの方が性に合っていて、居心地がよかった。

よく不思議に思われるが、つき合うとか、身体の関係とか全くないのだ。

「きれいな」友情だった。

しかしそんなこと周囲には通用しなかった。大津の家に私が泊まったことを知ったリーゼントは発狂する。そして大津も怒られる羽目になる。私が女だから、という理由だけで。

男女差別ではないか。

私は自分が女であることを恨んだ。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『腐ったみかんが医者になった日』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。