大切な時期に、直接技術開発にかかわらないと、母乳を飲まずに育てられた赤子同様、病にかかりやすく、エンジニアとしての一生を台無しにしてしまう。

最近、学生時代から自分なりの考えや、思いをもった優秀な若者が、大企業を見限りつつあることをご存じであろうか?

退職せざるを得なかった彼らは、自分なりの「思い」があり、主張があり、改革の意欲がある人物ばかりだ。

多くの大企業では、優秀な若者の思いを受け入れる余裕や度量がないため、「もうやってられない」と、転職しつつある。

A君は、X社において、極めて優秀で3年間米国の大学に留学した。帰国後、満を持して様々な提案をしたところ、「君だけ特別扱いできない」といって、取り合ってもらえず、やむを得ず外資系のコンサルタント会社に転職してしまった。

B君はY社3年目にして社長賞をもらうほどの有能なエンジニアであった。

あるとき海外での事業展開を提案し、自分がそこに行って活躍したいと願い出ると、「君だけ特別扱いできない」と言われ、もう我慢の限界に来たと会社を辞し、今は海外で活躍している。C君はZ社3年目、いろいろな技術に携わった後、自分の所属する組織の改革について提案したところ、「入社3年目でそのような提案はまだ早い」と言われ、これでは何を提案してもダメと悟り、ベンチャーに転職した。

そのベンチャーの社長(米国有力工科大学出身で日本語堪能な米国人)から、入社時に5時間にわたり個人面談された。「人材こそが企業のいのち」と熟知しているのだ。

今日本は、穏やかで普通になりたい一般の若者と、大過なく過ごしたい大企業の双方にとって、「思い」を主張することは「やっかいなこと、面倒なこと」として避けられ、その風潮が蔓延、指示待ち人間を増やす結果にもなっている。

株主総会をシャンシャンと終わらせる企業に将来はない。

「何を言っても動かない会社」が若者には見透かされ、伝統に安住している大企業が、今危ない!

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。