そして、離婚調停が開始されてから5ヶ月が経過した月末に離婚調停は終了した。その夜、仕事を終えて実家に戻ってきた私に、姉が裁判所からの確定調書を渡してくれた。

「私と母さんは内容を確認したから、あなたは後で、ゆっくり家族3人そろってから確認しなさい」

そう言って、姉は旦那さんの所に行ってしまった。私はすぐに、直美と雄二を私の部屋に呼び出し、全員がそろってから一緒に確定調書の内容を確認した。その内容は次のとおりだった。

〇赤羽光夫と薬師ひろみの婚姻関係を解消する

〇赤羽光夫は慰謝料として金二百万円を薬師ひろみに支払う

その内容を確認した私達3人は、泣き出しそうになるのを我慢しながら、お互い抱き合って喜んだ。それは、私がこれで薬師ひろみに戻れたからであり、そして子供達は強く希望していた両親の離婚がやっと成立したからだった。しかし、少し時間が経過し冷静に考えると、子供達はまだ赤羽の姓を名乗らなければならない。私がその事実を伝えると、直美がすぐに返答してきた。

「お母さん、私も薬師直美に改名するから!」

それを聞いた雄二もすぐに返答してきた。

「僕も薬師雄二に改名する!」

私は、子供達に冷静になるように答えた。雄二は未成年だから改名は認められない。しかし、直美は成年だから改名は可能だ。けれど、来年には看護大学を卒業するのに現段階で改名して支障があるのではと思い、そのことを直美に伝えるとこう返答してきた。

「私は、これから自分の未来で自分が家族と認めている、薬師の姓を名乗りたいだけです!」

それを聞いて何も言えなくなった。結婚したのでもないのに改名したいと言い切るのは、元父親をよほど嫌っている以外に理由が思いつかないのだから。