ゆりのパワーと優しさ

「ごめんなさい。大事な着物を濡らしてしまったの。派手なジャケットの失礼な方で名刺出していたけどお断りしたの。女性を軽く見ている男性は嫌いです」

「誰だろう?」

私はシャワーに入ってバスローブで出てきた。

「あら、俊さん会場に戻らなくていいの?」

「もうすぐ終わるし、山本さんと近藤には戻らないと連絡した。朝、ロビーでコーヒーでも飲もうと言っていたよ。シャワーに入ってくる」

ぐっすり眠って朝、八時にモーニングが届いてゆっくり食べた。 

十時頃ロビーに降りて、山本さんと近藤さん、博美さんでコーヒーを飲んでいると男性がやって来た。

「今井さん、少しいいですか」

「おおー直樹どうした。妻のゆりだ」

「初めまして、ゆりです」と挨拶した。

「奥様、実は昨日、奥様に失礼な事をしました」

「えぇ~君か。妻が、派手なジャケットで失礼な方と言っていた男性は」

「すみませんでした。着物を弁償かクリーニングをさせてください」

「分かりました。とても、とても大事な着物ですので、クリーニングに出します。請求書を送りますね。俊さんのお知り合いだったのですね。大丈夫ですよ」

岸さんは帰って行った。 

「俊さんの知り合いって変わった方が多いですね」

三人とも爆笑。

一か月後。

「来週、土曜日近藤のホテル東棟リニューアルオープンだ。予約したので行こうね」

「分かりました。楽しみだわ」

「中条夫婦と急遽、山本さん夫婦も来ることになった」

「いい事を思い付いたの。私達で山本さん達の簡単な結婚式の準備をしましょう。何時頃、着くかしら?」

「十一時頃に着くそうだ」

「由紀さん、式はしないでいいと言っていたそうだけど、女性はウェディングドレスが夢です。だから着せてあげたいの。私と中条さんの奥さんの梨絵さん、博美さんで準備するので、俊さんと中条さんは食事会とチャペルの手配をお願いします」

「じゃあ、参加者は近藤夫婦、裕太夫婦と僕達だね」

「ええ。素敵な式にしましょう」

「分かった。近藤に連絡して食事の会場とチャペルの予約だな」

「私は、梨絵さん、博美さんに連絡ね」

予定通りに準備が出来た。明日は本番。