山本さん、車中編

ず~っと笑っている。

「社長、どうしたのですか?」

「いや、すごく素敵な奥様だ。面白くて笑いっぱなしだった。楽しかった」

「珍しいですね。会食が楽しいっておっしゃるのは」

「そうだな。ワハハハハハ」

今井さんの心の思い

帰り、山本さんから美味しそうなお菓子を頂いた。駅弁を買って新幹線に乗った。お弁当を食べておやつも、楽しく二人で食べた。

「俊さん、遠足みたいね」

「楽しいな」

ゆりは、たくさんしゃべり、たくさん食べて、コトンと僕の肩にもたれかかり寝ている。僕は心で、父さん、母さんがきっと、ゆりに出会わせてくれたと思った。こんな素敵な女性に。今までがむしゃらに頑張った。結婚なんてしなくてもいいと思っていたがゆりに出会って一緒いたい、家族になりたい、そう願った。そして妻になってくれた。一生この手を離さない。

柔らかい手を守って行こう。写メ。近藤へライン「今、新幹線。昨日は山本さんと一緒に夕食。それがまた、ゆりの話だ。山本さんを見ていたら、笑いをこらえるのに必死だった。あげまんが近くにいると、それは僕もこの人だと思う人が近くにいた。女性ってすごい。上手く行くといいな。詳しくは金曜日いつものところでな」

三時頃、家に着いた。荷物を置いて直ぐにゆりを抱きしめた。

「愛している」

「ねぇ、私達、新婚みたいね。ウフフフ」

「女性をこんなに愛せる事あるんだ」

「ありがとう。ねぇ、おやつにしよう。山本さんから頂いたお菓子食べよう」

なんかお菓子に負けた感じ。可愛い妻だ。

今週は、孫達がお泊まりの日だ。

浩也は将棋、上手くなったかな。

僕は、こっそり、勉強したぞう。

ピンポーン。

「俊じぃー、ばぁばーお泊まりに来たよう!」

「いらっしゃい。待って居たよ」

今日は、未来ちゃんがぐずっている。車の中で、お兄ちゃんとケンカして泣かされたらしい。ゆりに、抱っこされて、泣いている。

「お兄ちゃん、意地悪するの。ええんー」

「そう、意地悪されたの、悔しいね~」と。

ゆらゆらと揺らしながら、抱っこしている。

何か、癒される。声のトーン。抱っこしながら、頭、おでこを撫でている。

未来ちゃんは眠りそう。ゆりの顔は、聖母マリアの様だ。心が洗われる。

女性って、いくつの顔を持っているのだろう。

僕の前では、妻の顔、憂いで愛おしい顔。浩輔君達の前では、母親の顔、命も与えられる優しい顔。孫の前では、慈しむ、とろける様な顔。改めて、女性って素晴らしい。