大器晩成 当たるも八卦当たらぬも八卦

大器晩成、一度も言わない占い師っているのかな? 私はまだ出会ったことがないけれど、もしいたら、その占い師は大当たり。だってこんなに使い勝手がよくて人を安心させる言葉は他にはないから。

特に子育てに行き詰まって相談に行ってみたら、まず100%の確率で言われるだろう。「あなたのお子さんは大器晩成ですよ」。みんなの心の重荷を少し軽くして、安心して家に帰してくれる魔法の言葉、大器晩成。

でも大器ってどんな器? どれくらい大きいの? 晩成っていったいいつのこと? いつまで待てばいいのかな? 細かいことなんてわからない。とにかく大器晩成、当たるも八卦当たらぬも八卦。

私は今53歳。まだ大器晩成と言ってもらえるか今度試してみよっと。言ってくれたら嬉しいな。まだいつ花開くかしれない日々を夢見て待てるなんて幸せだ。

器って、大きければ良いってもんでもない。形だってまちまちだ。土器みたいにぶ厚い物もあれば、ワイングラスのように薄さが命の物もあり千差万別。用途や好みに合わせて良さがあって味がある。みんな違ってみんな良い。だから何をもって大器と呼ぶかなんてわからない。めちゃくちゃ主観的なもの。いろいろあやふやなことが多い大器晩成は実態がつかめず難しい。そこが占い頻出トップ3の所以(ゆえん)だ。

私が好きな絵本。『かみさまからのおくりもの』の中に少しヒントがあった。

『赤ちゃんが生まれる時、神様は一人一人に贈り物をくださいます。天使が運んでくるのです。赤いほっぺの赤ちゃんには「よくわらう」大きい赤ちゃんには「ちからもち」泣いている赤ちゃんには「うたがすき」よく動いている赤ちゃんには「よくたべる」すやすや寝ている赤ちゃんには「やさしい」を天使が届けてくれました。神様、素敵な贈り物をありがとう』

人は与えられた資質、素材をもって生まれてくる。それを生かした器作りをしたら手っ取り早く自分の好きなお気に入りの一品が出来そうだ。

世界に一つだけの器作り、オリジナリティは何より大切。自分を知るところから始めよう。もう一つは器だから焼きものからお知恵拝借。

まずプランニング、どんな器を作ろうか考える。備前焼のような渋い茶碗。九谷焼のような豪華なお皿。砥部焼みたいなモダンな花瓶。

形を決めたら「ろくろ」を回す。粘土の塊から形を作っていくのは難しい作業。力を入れ過ぎれば途端に崩れ最初からやり直し。手元が狂えば歪んでしまう。形が出来ても焼きの工程で割れてしまい残念無念。でもこれ自分でやったことなら仕方ない。泣いて騒いで悔しがって、もう一度粘土をこねるところから心機一転やり直し。最悪なのは横から誰かの手が伸びてきて、余計な邪魔をしてくれて、おかしくされたとき。もう恨むなんてもんじゃない。呪ってしまうレベル。

親は自分自身の、会心の器が出来るように作り続けましょう。子どもの作業はゆめゆめ邪魔せず、じっと見守ってあげましょう。そして大器晩成は自分で決めるもの。器の大きさも仕上がる時期も、仕上がったかどうかを見極めるのも。

私はどんな器にしようかな? 子どもたちの器作りを横目で見ながら、試行錯誤をもう少しだけ続けてみよう。自分の器作り、せっかくだから楽しもう!

大器晩成(たいきばんせい 大きな器を作るのに時間がかかるように大人物は遅れて大成するということ