ここに一つの教訓を得た。何かことを起こすとき、「これはロータリアンがやることか?」と言って、小難しく考えて結局何もしないことよりも、とりあえず目標を持って、全員でその実現のために努力をする、目標が達成できたときの喜びは参画する者が多いほどその程度は倍加する、ってことを。

そうだ、少年マンガの成功論理も同じことを言っていたな。少年マンガは、三つの要素が織り込まれれば必ずヒットすると言われている。一つは友情(仲間やライバルの存在)、一つは努力(目標に向けて必死に頑張ること)、一つは勝利(目標の達成)だ。

まるでロータリーだ。とにかく、今回は会員の老若男女のすべてから絶大なる賛辞が贈られた。いや、そういえばうちのクラブには女性会員はいないということに気が付いた。何か理由があるのだろうか? 今度、古参で優しそうな会員に聞いてみようと思った。

後日、クラブの会員のなかで最も温厚そうな先輩HTさんを見つけ、女性会員不在の理由と、その次第によっては僕の周辺の知人からうちのロータリーに相応しい女性を紹介しますよ、と尋ねてみた。

HTさんは地元で一番大きな花屋さんだ。彼いわく、

【1】創立して五〇年が経とうとしているうちのクラブに女性会員がいたことはない。

【2】古参の会員のなかには女性会員を忌避する人がいる。

【3】ロータリークラブの総本山である「国際ロータリー」(RI RotaryInternational)も女性会員の入会を認めたのは最近(一九八九年)のことだ。

【4】時期尚早だと思う。女性を紹介しても君が困るだけだからもう少し待ちなさい。君が会長になったら、それにチャレンジしてみるといい。

と教えてくれた。女性問題のハードルはかなり高そうだ。しかも僕が会長になるまで待て、とのご指示。それはずっと先のことだろうから、とりあえずは聞かなかったことにしようと独り納得した。

でも、こちらが女性を入れないのではなくて、女性の方がそんなクラブには絶縁しているのかも知れないな、とも考えた。僕の経験上、いまの大学ではどこでも女子学生の優秀さが傑出している。入学試験、在学中の成績、就職活動への取り組み等、多くの場面で女性の優秀さが目立っている。

男女問わず、平等に教育機会が与えられると必ず女性の方が秀でてくるのだ。ある会社の経営者が、学生の就職をお願いする僕に言ったことがある。「おたくの大学の女子学生と同じくらい前向きで、同じくらい優秀な男子学生を紹介して欲しい」