腹腔に注射した実験ではMAF量は1日当たり9μgと27μgで効果を示しました。一方、経口投与の場合のMAF量は1日当たり2.3mg から4mgと、腹腔注射の場合の100倍から400倍も多かったのですが、同じような結果を得ることができました。

これはMAFが腸管から吸収されること、その吸収効率はかなり低いことを示しています。しかし、経口投与でもMAFは効果を発揮することができるということは、私たちに希望を与えてくれました。MAFの効果をさらに調べるモチベーションが湧いてきました。

これらの実験を行った藤原君はMAFの研究で学位論文をまとめて博士(理学)を取得して、私の研究室を卒業していきました。彼の粘り強さ、ものに動じない勇気、明るい性格は素晴らしいと思います。そして、MAFを摂取したdb/dbマウスに対する彼のコメントが、次の研究展開のヒントになりました。

それは、腹腔にMAFを注射した実験でも、MAFの経口投与実験でも、10週間経つと「コントロール群」のdb/dbマウスは毛の艶も悪くなり、ほとんど動き回らなくなるとのこと。一方、「MAF群」のdb/dbマウスは毛の艶も良く、よく動き回っているというのです。この話を聞いて、卒業研究生だった江口友昭君はMAFがマウスの運動能力に影響を及ぼすのではないかと考えました。

この着想が、MAFの大きな可能性の扉を開きました。