自分は自分、人は人が基本

組織の中で仕事をする上で、精神衛生的に「楽になる」ことについて考えてみることにしましょう。

それは、同僚や他の社員と「比較しない」という、巷でよく聞くテーマでもあります。自分を同僚や他の社員と比較する時、背後には往々にして昇進や昇給など、人事評価に関わる何かが関連しています。

「何で、あいつが俺より早く出世するんだ?」「どうして、あいつの評価は高いのか?」「この俺を差し置いて、あいつが抜擢されるとは!」など、誰にでも思い当たる節は、あるのではないでしょうか。

納得できない人事異動を、目の当たりにしてしまうと、心穏やかというわけにはいかないのも人情です。一旦、「比較すること」の罠にはまってしまうと、待っているのが、「嫉妬心」という底なし沼です。

「嫉妬心」に捕まると、精神的にとてもつらい状況に陥って、抜け出すのに苦労します。できれば、そうなる前に解決したいものです。何か妙案はないものでしょうか。

ありきたりですが、「思考を止める」という手段があります。同僚や仲間と比較しそうになったら、その瞬間に思考回路を遮断して、入ってきたばかりの不都合な情報を、「消去」してしまうのです。

これ、理屈上は簡単なのですが、実は、結構大変です。鉛筆で書いた文字であれば、消しゴムを使って消すことができます。パソコンにあるデータであれば、デリートキーを使って消去できます。

しかし、実際に頭の中に入り込んだ情報を消すのは、たやすいことではありません。何かできるとしたら、いかなる不本意な情報であろうと、一旦事実として受け止めて、「受容」してしまうことです。

とにかく、まずは受け入れてしまうのです。

「とは言っても、受け入れるなんてことは、到底できません」。そうおっしゃる方もいると思います。ごもっともな意見です。すぐにはできないかもしれません。

でも、「それが現実」と言い聞かせているうちに、少しずつではありますが、受容できるようになります。

よく思い返してみてください。人事の本質とは、「上に行けば行くほど、その上と合う合わない、つまりほとんど好き嫌い」です。

仮に同僚が自分より早く昇格したり、抜擢されたりしたとしたら、たまたま「上司に恵まれた」だけ、もしくは「上司率いる職場環境に恵まれた」だけ、と捉えることもできます。

同僚と比較して、自分の評価が上がらないのは、単に、現在の上司との「相性が悪い」からだけなのかもしれません。所詮は上司との相性次第。

そのように考えると、少しは受け入れやすくなるのではないでしょうか(他に何か原因があるとしたら、解決しなければならないのは言うまでもありません)。

自己啓発書はムダ

最近のことですが、本棚を整理していると、昔読みあさった数多くの、自己啓発に関する書物が出てきました。

それは、リーダーシップものから成功にまつわるものまで、多岐にわたります。しかも、中を見ると、あちらこちらに赤線や、ラインマーカーのしるしが入っているではありませんか。