ところが、何でわざわざそこにしるしをつけたのか、今となっては、さっぱり覚えていないのです。おそらく、当時はマーキングした内容にいたく感銘し、わらにもすがる思いで、しるしをつけたのでしょう。

切羽詰まった状況の中で、精神的にも追い詰められていたのかもしれません。改めて目にしたリーダーシップ本や、自己啓発書の多くは、どちらかというと「理想論」が中心で、内容は、「きれいごと」ともとれるものが多いことに気づきました。

もちろん、当時は「理想論」に救われたこともあるはずなので、一概に否定はできませんが、もう一度真剣に読もう、という気にはなれませんでした。

『「権力」を握る人の法則』(日本経済新聞出版)に、興味深い内容があるので紹介します。

「著名な経営者が書いた本やリーダーシップに関する講義や講演は、はっきり言って眉唾物であり、あなたの生き残りにとってむしろ危険な代物だ。自分のキャリアをお手本として売り込むリーダーたちの多くが、トップに上り詰めるまでに経てきた抗争や駆け引きに触れないか、きれいごとでごまかしている」

同書は続きます。

「またリーダーシップに関する授業や講演の多くは、良心に従え、誠実であれ、本音で話せ、控えめに謙虚にふるまえ、強引なやり口は慎め、汚い手は使うな、といった教えに終始しており、一言で言えば〈世界はかくあるべし〉〈成功者はかくふるまうべし〉といった願望に基づく処方箋となっている。この世にいるのが、謙虚で誠実で博愛精神に満ちた人間ばかりなら、たしかに世界はもっと美しく思いやりに満ちた場所になるだろう。だがそのような世界は存在しない」(前掲書、25〜26頁)

「リーダーシップ」や、「自己啓発」に関する書物を読む際には、ぜひ参考にしてみてください。同時に、どうせ読むなら、もっと「幅広いテーマ」の本を読んでみることも、お勧めします。

少しでも興味のあるものであれば、何でもいいと思います。場合によっては、まったく違う観点から、ヒントを与えてくれる書物に巡り合うかもしれません。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。