表3の項目を眺めて気づくことは、移動の有無です。ひとりで仕事を行うシーンを除いてほぼすべてのシーンで私たちの仕事には移動が伴います。移動距離は、社内から社外、近隣から全国、世界へと広がっています。私たちは空間と時間がセットになった社会で生きていますので、異なる場所に移るためには時間を要します。

またある場所に移動すれば必ず元いた場所に戻らなければなりません。そうした移動と時間を避けることはできません。企業のPL(損益計算書)を見れば、企業で移動に要した費用はひと目でわかります。

いかに多額の旅費交通費を支出しているかがわかります。営業に関する旅費交通費が大きな負担となり経営を圧迫している企業は多くあります。成績が上がらない社員の場合、もし、成果の出ない営業のために移動をしなければ、旅費交通費が減少し、会社の収益に「貢献する」というおかしな現象も生まれます。

私の知っている経営者に、いつまでたっても成果の上がらない営業マンに「頼むから営業に行かないでほしい」と懇願した人がいました。一方、営業マンが1日中、社内にいれば、売上があがるはずがない、「とにかく、外に出て活動してほしいと」社員に号令をかける経営者はたくさんいます。

一般的に営業成果と移動距離、移動時間は比例してきたのがいままでの社会です。これがオンライン時代になり、収益と移動距離・時間との相関がなくなるのです。これは移動に関するコストをかけることなく収益を上げられる時代が到来したことを意味します。

企業にとって画期的な出来事であり、日本で低迷が続いた労働生産性が、上昇するきっかけになり、新たな成長ステージに入る可能性があります。このようにオンライン会議は企業にとって大きな収益改善効果をもたらしますので、新型コロナが終息することで、過去の仕事に戻ることはないといえます。