コンサルティング会社の代表取締役がアフターコロナ社会におけるビジネスについて徹底解説! 予期せぬパンデミックによるビジネス社会の変⾰についてお届けします。

第5章 オンライン社会の出現:実は2001年にはじまっていた

オンライン社会はすでにはじまっていました。

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しかし、社会には浸透していませんでした。テクノロジーは社会に広がって革命が起こります。広がる前は、オタクの技術です。アーリーステージを走る人はいつも数%です。

この技術はすごいと感じても、社会でその感覚を共有できなければ単なる新しい技術なのです。インターネットが日本で広く普及したのは2001年ですが、すでにこのときに社会構造の転換がはじまろうとしていたのです。

私は大学を卒業したころ、金融機関に勤めていました、ちょうどそのころパソコン(当時はマイクロ・コンピュータといいました)が登場しました。

ビル・ゲイツがハーバードの学生だったころです。私は人間の頭脳に代わるコンピュータが、数十万で買えることを知り、早速アメリカから1台購入しそのコンピュータを動かしました。

一個人が天体の軌道計算ができるような技術を手にする時代が到来したことにほんとうに驚きました。

私は、産業革命(第三次産業革命でした)がはじまったと直感しました。

銀行のお客様に、これから時代は劇的に変わります。すごい時代になりますよと、伝えながら歩きました。「君、どうしたの。大丈夫」という反応で全く理解を得ることはできませんでした。

私は産業革命を直感したことで、結局、銀行を辞めることになり、現在までデータサイエンスにかかわる仕事をすることになりました。

このようにいかにすぐれた技術が目の前にあらわれても、それが社会の共通認識にいたるには長い時間がかかります。ところが今回私たちは、共通認識を技術の力ではなく、新型コロナという外部の力によって強制させられました。

社会の共通認識が一気に広がった極めて稀な現象といえます。人によっては新型コロナのことを「黒船」と呼びます。特に日本人は秩序だった社会で、頭が固い人々であふれています。

その国が黒船で一気に社会の仕組みを変えていったように、この新型コロナで日本社会は急速に変化していくのではないかと思います。

ITに関しては欧米から周回遅れでどうしようもない国だと揶揄されてきましたが、一気に変容していくのではないかと思います。