② 人工知能、知能爆発、シンギュラリティ

人工知能(AI、Artificial Intelligence)とは、人工汎用知能(AGI、Artificial General Intelligence)とその知能が進化した人工超知能(ASI、Artificial Super Intelligence) のことを言います。人工汎用知能とは、色々な定義はあるようですが、簡略に言えば、「人間のように考えることができるレベルのコンピューターシステムである」ということです。このようなものに思い至ったのは、人間の脳は電気回路と同じだから、人工知能をコンピューターシステムとして工学的に実現できるはずであるという発想によります。そしてこの発想は近未来に実現可能であるとの見方が優勢です。2018年6月号の科学雑誌 “Newton” および多くの関連文献によれば、人工汎用知能が実現するための条件は、「人工汎用知能が自分自身のプログラム・アルゴリズムを書き替えて自分を改善できる能力を持つこと」です。

人工汎用知能はまだ実現していませんが、家電、自動車、医療機器等に人工知能が使われていると一般に言われています。しかし、これらは、能力は高くても、1つの作業目的を達成することしかできない工学的な技術であり、狭義の(弱い)人工知能と呼ばれることはありますが、人工知能ではありません。

人工知能とは人工汎用知能が自律的にしかも短期間に無限回の進化を繰り返し、指数関数的に高くなった人工超知能のことで、この進化のプロセスを知能爆発と呼んでいます。人工知能が思い描いたように実現しますと、数年、数か月、数日あるいは数時間というあっという間かもしれない時間に、知能は人間の1,000倍、100万倍はおろか何兆倍から無限倍の高さに迄進化すると考えられています。知能爆発は2030年迄、2045年迄、2100年迄に起きるという色々な見方がありますが、コンピューター関連技術の進歩は急カーブを描く加速度的である点を考慮しますと、この21世紀の中頃には起きるのかもしれません。

この知能爆発がベースとなり、シンギュラリティ(技術的特異点)が起きると言われます。

シンギュラリティの伝道者である優れた発明家のレイ・カーツワイルは、この言葉を、「急速な技術革新によって人間生活が後戻りできない形で一変した後の『特異な時代』(2045年頃から始まる)」と定義している。ほとんどの知能がコンピューターベースとなり、今日の何兆倍も強力になる。シンギュラリティが人類史における新時代の幕開けとなり、飢餓や病気、さらに死といった、我々が抱えるほとんどの問題が解決されるだろうというのだ。(人工知能 ジェイムズ・バラット著 水谷淳訳 ダイヤモンド社 2015)

シンギュラリティは、(イ)人工知能、(ロ)ナノテクノロジー、そして(ハ)バイオテクノロジー(生物工学)がその主役であると言われており、これらが組み合わされば、「生命と融合した人工知能」が実現するとされています。ナノテクノロジーとは、原子スケールの工学のことで、例えば細胞レベルの老化を取り除けば不老不死が実現するという、お釈迦様も仰天するような、技術です。人工知能が一見不可能なナノテクノロジーの問題を解決すると期待されています。バイオテクノロジーとは、生物のもつ物質変換・情報変換・エネルギー変換などの機能を、さまざまな有用物質の生産、医療、品種改良などの実用に重きをおいて応用する技術のことです。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。