私はここ10年、月平均2回以上の山行をこなしてきました。つまり、年にすると24回から、多い時で30回以上山にでかけてきました。4年で100回に達する計算です。

その中で、年に何回かは九州、北海道などに「遠征」することがあり、そうなると連泊を余儀なくされます。遠方にまで足を運ぶのですから、どうせなら長く滞在し、登山だけでなく南や北の町や名所を巡ったり、御当地の味に舌鼓のひとつも打ったりしたいのが人情でしょう。

北・中・南のアルプスにでも入山してしまい、それこそ縦走でもするなら登山漬けになってしまいますが、そうした大きな山行を除外すれば、山以外のプラス・アルファも旅の大事な要素になってきます。

『百名山』完登の最後の一峰となったのは、北海道の後しりべし方羊蹄山(=羊蹄山)でした。ニセコにあるホテルに連泊し、その頂を狙いました。運よく2日目には予定通りに登頂を果たせ、その後も計画に沿って釧路へと移動することになります。

釧路では釧路湿原を観光したかったし、テレビでもよく紹介される『和商市場』では『勝手丼』を食べてみたかったのです。ニセコのホテルというのも、実はこの2年前だったでしょうか、一度予約を入れたものをキャンセルしており、今回借りを返した形でした。

利尻島の利尻岳に登頂し、その後ニセコに移動して羊蹄山をも極めようという計画が、天候状況によって頓挫していたのでした。このホテルとはこれ以後も懇意にして頂き、メールをやり取りしたり、知人の新婚旅行の宿として紹介したりしています。

原野の中の一軒宿で、新築間もなくきれいでお洒落。春から秋にかけての暖かい時季にはテラスで食事ができ、貸切風呂からは羊蹄山が望まれます。

近所の農家から仕入れた食材を使用した料理もなかなかです。新婚旅行にはもってこいだし、カップルや夫婦にはうってつけで、しかもリーズナブルです。

実際私が利用した時も、私以外の2組は新婚旅行で、私の肩身の狭かったこと……全くの場違いでした。