そうとも限らないがわざわざ里奈に教えるかのように電話して来たということは、その可能性は大きい。落ち込んだ佑と里奈をあざ笑っているのだろう。

里奈は家に帰った。

「お帰り、今からお前の分もあっためるよ」

「ありがとう。じゃあ、お願いね」

「あのさ、もしかして……早紀から聞いた?」

「……うん」

「早紀と会ってたのか?」

「違うわ。昼間電話で聞いたのよ。さっき行ったのはあなたの会社よ」

「へえ~、それで、会社の中まで入ったのか?」

「会社のすぐ近くの駐車場の辺り」

「それで?」

「あなたが辞めて太田さんが仕事引き継いでパニックになっていることと、早紀があなたのことを好きだったけど、私を選んだのはボランティアのしがいがあるからとか? 会社の人が私がいないと思って言ってたわ」

「ふっ? ハッハハハハッ! でも里奈のことは知らないよな」

佑は思わず笑った。

「私だって人が困っているときは手を差し伸べるわよ。それが、ブスで鈍くさくてかわいそうな人だからあなたはボランティアのしがいがあるって、ちょっと失礼な話よね」

「ハハハハハッ! 何か、救われるな。お前といると癒されるよ」

「そんな、別に今のは救おうとか癒そうとかそんなつもりじゃなかったんだけど」

「まあいいよ。他の女と結婚してたらこんな会話にはならないよな、助かるよ」

佑は元気を取り戻した。そして、次の日からは職探しに専念することにした。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『ホシのレストラン』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。