昨今、地球規模で危うくなりかけている食の行方を懸念し、食文化の根源がゆるがぬよう広く訴え、広く賛同を得ることによって農産物の安定と安全、そして供給が永久的に維持可能となるよう願う――。

これがスローフードの基本理念です。スローフード運動はイタリアの小さな町で産声をあげ、全世界に広がっていきました。そのきっかけは、ローマの観光地として有名なスペイン広場に、アメリカのハンバーガーチェーンが進出したことでした。

このとき、ファストフードにイタリアの食文化が壊されるのではないかという危機感が生まれ、スローフード運動へとつながっていったのです。

その土地に根ざした伝統的な食文化や食材を大切にする、良質の農産物を提供する生産者を守る、消費者の味覚教育を行う、などが活動の柱となっています。

そして、食を楽しみ、食の喜びを取り戻そうというのです。私もこの考え方に深く共鳴して、積極的にスローフード運動に取り組んでまいりました。

今は、遺伝子組み換えなどの品質改良された食べ物が、マニュアル化したコンピューターにより世界各地で大量生産される時代です。

同一品種の食べ物が世界を制覇していくことは食の理念から大きくはずれるものですし、この流れや仕組みに変動が起き、このシステムがストップしたときどうなるのでしょうか。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『喰い改めよ! あなたはあなたが食べたものでできている』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。