2 三角縁神獣鏡の特徴

① 縁の断面が三角形の形状をしている。

②  鏡は太陽を反射し、実像が写る側を鏡面といい、その反対側は神像、獣像、銘文のあるのが鏡背である。

③  背面の中心は、鈕(ちゅう)といい紐を通し手に持ったり、壁に掛けたりできるようになっている。

④  外側から縁、山模様、川の波模様の外区、線刻模様と銘文帯、神像と獣像のある主文体、乳(円錐型の突起)の内区そして、中心の鈕である。

⑤ 神像と獣像の組み合わせによって二神二獣鏡、四神四獣鏡等の区別で呼称されている。

⑥ どんな神像がいるか。

赤松子(せきしょうし)

 雨を司る仙人。

西王母(せいおうぼ)

 崑崙山に住む仙人の領袖で不老不死のシンボル。

東王父(とうおうふ)

  東方を支配する仙人、西王母と一対で登場する神々。東海の島蓬莱山に住むと言われていた。それは、倭国の亶洲(九州)と考えられていた。

⑦ 中国では役人、庶民の家の高価なお守りであった。

⑧ 銘文帯に書かれた銘文の種類と作者

「吾作命竟、甚大工、上有王喬、及赤松師子天鹿其義龍、天下名好世無雙」

「陳是作竟甚大作、有上仙人、古有聖人」

「尚方作竟真大巧……」

「張氏作」

「新作」

「顔氏作」

以上は作者名のある中国内外で作られたと考えられる一般的・通俗的な表現の銘文の鏡である。以上の鏡は魏の皇帝が、朝貢の倭国の女王に下賜した鏡とは考えられない。もっと高位の言葉が使われたと判断できる。特に次の銘文に注目した。

⑨ 「天王日月」

「天王」・「日月」

「天」・「王」・「日」・「月」

「日」・「月」

「日・日・日・全」

謎の銘文は唯一無二の永遠なる宇宙神の輝きを皇帝自身になぞらえている。

皇帝の地位にある人物にしか考えつかない言葉が刻印されている。