3 なぜ三角縁神獣鏡は大量に発掘されるか?

皇帝から百枚下賜されたのに、国内の古墳からの出土は、五百枚以上が発掘されている。このことが、謎として三角縁神獣鏡の真贋説が生まれる結果となっている。

百枚を超える鏡は、国内で模倣されて大量に作られ、邪馬台国以外の勢力圏外の各首長たちに配布されて、邪馬台国の権威、勢力拡大に使われたものと考えられている。

中国の考古学者の王仲殊は、三角縁神獣鏡全ては魏の敵対国の呉の工人が渡来して、日本国内で生産されたと推理している。

ちょうど、卑弥呼の時代の二三○年に、呉の兵士が大量に逃亡したという事件が発生している時期と一致しているからと考えられる。

世俗的・汎用的な銘文帯のある三角縁神獣鏡は、豊国の香春の呉地区の鏡山とか、奴国で大量に作られた国産であると考えられる。

配布された各首長も銘文帯に彫られた漢字を読解できたのは、一部の倭人だけだったかもしれない。

邪馬台国が全国統一のために、特に瀬戸内海周辺国と近畿方面の倭国の部族社会の首長に配布したとも考えられる。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『邪馬臺國は豐國にあり 歴史学と考古学から読み解く⽇本古代史』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。