厚労省とりまとめ、パラダイムシフトそして医療法改正案へ

・厚労省とりまとめ(厚労省案)への経緯

2012年(平成24年)2月15日、厚労省は、「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(以下、「検討部会」と言う)を立ち上げた。この検討部会では、医療事故調査の体制づくりについて議論を進めてきた。

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同時に日本医療法人協会は、医療界の議論をリードする形で、院内での自律的な原因分析を第一義とする医療事故調査制度を提言。四病院団体協議会案・日本病院団体協議会案として合意を得たことは前述した通りである。

それまで、病院団体の意見の集約を期待するとして来た厚労省が、担当者が代わった直後の5月29日、突如、強引に「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方(案)」を提示し、とりまとめを行ったのである。病院団体合意を全く無視しての暴挙である。

同案は「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」として、5月31日公表、医療法改正の項目として浮上してきた。私見であるが、医療法改正が目前に迫るなか、医療法改正にすべり込ませてきたものと考えている。

この先兵となって、強引なとりまとめを行ったのが、新任の医療安全推進室長であろう。5月29日の第13回検討部会には、全国の医師・医療関係団体から30余りの反対意見が寄せられ、有賀徹委員、中澤堅次委員が頑張ったにもかかわらず、時間を延長して、強引にとりまとめを行ったのである。

5月15日の面談で医療安全推進室長の対応を予測していた筆者らは、直ちに、厚労省案絶対反対、医療法改正絶対反対の狼煙を上げた。同時に、全国の有意の医療関係者の連携を図り、国会議員へのアプローチを開始したのである。

厚労省案は医療関係者の責任追及に直結する危ないものであった。われわれは、WHOドラフトガイドライン準拠、「医療の内」と「医療の外」の切り分けを旗印に運動を展開した。同時に、厚労省案が如何に危ないか、如何に粗雑であるかを講演・著述等あらゆる手段で訴えた。