「公立は『オワコン』だ」なんて言わせない! 教育現場にはびこる不信、あきらめ、無関心。そして現場を無視した制度改革――。 社会が目指すべき学校教育とは? 現役教師が解説していきます。

行事編~子どもが夢中になって、大きく成長するチャンス~

では、実際の現場ではどうでしょうか

行事が好きな教師は多いと思います。そして、魅力的な教員ほど、行事で子どもと笑っています。

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私は、子どもと一緒に馬鹿になって行事を楽しんでいる教師が大好きです。体育祭で子どもたちが白熱する中、目立たないところでの門番を引き受け、警備に徹しているベテラン教師の背中も大好きです。

職員室で、どうしたら行事の中で子どもを成長させることができるかを真剣に相談している若手教師も大好きです。どうしたら子どもが楽しんでくれるかと、中心になって、一生懸命行事の企画書を作り、提案してくれる先生には、感謝しかありません。しかし一方で、ときに現場では、行事を行う目的と、実際にやっている教育活動が一致していないことがあり、子どもたちが「やらされている感満載」になっていたり「なんとなく終わってしまった」ということになっていたりすることがあります。

行事の目的と実際の教育活動が一致していないことのイメージが湧きやすいように、合唱コンクールを例にします。職員会議で提案される合唱コンクールの目的は、各学校によって違いますが、「歌うことの楽しさを味わわせること」「美しいハーモニーを感じさせること」「学級の仲間との協調性を育てること」というものがだいたい入ってきます。