これに対して、側坐核という器官があります。この器官は扁桃体と真逆の働きをしています。人間の喜び、期待、愛、楽観などを司っています。私たちの前向きな生き方やアイデアはこの器官が深く関係しています。

日本には毎日、無数の会議が走っています。その中で、うまくいかない会議は、ほとんどこの扁桃体が作用しています。ネガティブな意見が支配的となり、ポジティブな意見が少数となりますが、実は、扁桃体が側坐核より力が強いからです。

ロサダラインという指標があります。ひとつのネガティブな意見や経験の表現の悪影響を打ち消すのに、3倍の量のポジティブな意見や経験の表現が必要(2・9013対1)というものです。会議を前に進めたい、日本社会を改革したいとしたら、3倍の前向きな意見の数が必要なのです。

理想は6倍といわれています。前向きな意見が、ネガティブな人たちの意見にかき消されてしまうのです。

意見が割れたときは多数決で決めます。しかしネガティブな反応をする人が3倍多いのです。企業や国を変えようとしても、ほとんど前に進むことができないのです。

日本は民主主義国家です。わからないときは多数決に委ねることになります。ネガティブな意見が3倍の勢力を保持していますので、民主主義のメカニズムでは決してうまくいかないことになってしまいます。日本がバブル崩壊から30年も停滞しているのは、こうした背景があるのです。

もちろん民主主義を否定するものではありません。体の仕組みがこうなっているのです。したがって、企業刷新できる企業が少ないのです。

かつてホンダ創業者、本田宗一郎氏は「通産省に言われたことと全部反対のことをやってきた。だから、ホンダの今日がある」(出典:「財界展望」第43巻)といいました。人間に備わった本能に依存していては、企業、社会を変えていくことは非常に困難だということを意味します。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。