「どこにも……。あ、近所のコンビニに寄りました。でもそこにはない気がするなぁ」

その日の仕事を終え、二人は暗い道を肩を並べて歩いていた。同じシフトで入っている二人は、あがる時間も同じである。

「もうすぐクリスマスだな」

民家の入口に、サンタやトナカイのネオンがまたたいているのを見て、岳也が言う。洋一もそれらに目を向けると、

「クリスマスは店、ですね」
「ああ」

うなずくと岳也は眉を寄せる。

「そろそろ予約を締め切るらしい。当日は凄いことになりそうだな」
「もう予約を締め切るんですか?」

洋一は少し驚いた。まだクリスマスまで三週間ほどある。

「毎度のことだよ」と岳也は答える。

一番忙しいと言われる時期を、洋一はまだ経験していない。どれほどの忙しさなのだろう?と少し怖くなる。

去年のクリスマスは何をしてたっけ? ふとそう考えて、そうだ、配送の仕事をしてたんだった、と思いだした。年末になると、なぜかやたらと大きな荷物が増えて、そのせいでひどい筋肉痛に悩まされた。

思い返すと、今までクリスマスらしいクリスマスを過ごした記憶がない。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『空虚成分』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。