くしゃみとルービックキューブ 5.

帰宅してから、岳也はゴウコーポレーションをネットで検索してみた。ホームページらしきものがあったので開けてみる。

それによると、ゴウコーポレーションとはゴウグループという巨大な団体のメディア部門の総称らしい。フローチャートのような図式があり、メディア部門の下に株式会社チップマンクの文字もあった。

チップマンクをクリックしてみると、その会社のホームページに飛んだ。画面全体がオレンジ色に変わる。そういえば看板も店の中の壁もオレンジ色だったな、と岳也は思い返した。おそらく会社のイメージカラーなのだろう。

チップマンク=シマリスの意味。お得な情報、格安チケットを、頬袋にたっぷり詰め込んで皆様にお届けします!とある。代表者社長の名前が永田浩となっていた。

そういえば、あの事務所のビルの名前は永田ビルだった。ではチップマンクの自社ビルということか。それらのことを知ったからといって、何かが分かるわけでもない。岳也はホームページを閉じた。

二ヶ月目の終り頃、ついに店員の女の子のくしゃみを録るのに成功した。拓未は嘘をついていなかった。それは今まで聞いたことのない、とんでもなく変わったくしゃみだった。

普通に聞いていると、高音で息をヒーッと吸い込む音しかしない。注意深く耳を澄ましていると、ヒーッの後かすかにシャンという音を聞き取ることができる。それが要するに彼女のくしゃみなのだった。

岳也はこのくしゃみをシンバル群に加えた。そうこうしているうちに四回目の振り込みがあり、メールを開けるという仕事は終わった。