二三分に新橋に着けばまだ演奏開始時刻まで三〇分もあるから全然余裕(よゆう)との見積もりだった。さぎりが遅れるにせよ、大したことはないだろうと高(たか)を括(くく)っていた。そこで、一寸(ちょっと)揶揄(やゆ)してやろうと、「ギリギリオンナ」と送って、ハートの目をした顔文字を付けてやる。

さぎりは、ちょいとばかりおっちょこちょいで、よく遅刻ギリギリをやらかすのだ。

さぎり…「スニーカーにすればよかった。言い訳(わけ)」とあり、汗をかいた顔文字が見える。「今、藤沢」

おっちょこちょいをやらかしては、妙な言い訳をしてごまかす態度が、可愛(かわい)いといえば可愛(かわい)いのだが、人間たるもの、言い訳ばかりしていては成長しないのは当然のこと。そこで私はその度に〝言い訳アンヌ〟とからかっていたのだが、それを受けての自虐(じぎゃく)的反省の弁だった。

折角(せっかく)の反省だけに、これは応(こた)たえてやらねばと、

私…「わかってるんやないの」と思わず出てしまったお気に入りの大阪弁に百点の絵文字をつけて送ってやる。