Slime Slime Slime

ミコトの前にはアルコールを調整した、弱いカクテルが置かれていた。

「あれ? お酒飲めるの?」

タクがミコトに聞いた。

「はい、初めてのお酒ですけど。今日は、20歳の誕生日なんです。」

その唐紅色のカクテルは、マスターからのプレゼントらしい。

「ブラッディ・マリーですよ。」マスターがカウンター越しに言った。
「ブラッディ・マリー……?」タクは聞き返した。

「血まみれのメアリー、と言う意味のカクテルです。」

(おいおい……。何でまた、こんな日に。しかもこんなに可愛らしい女の子に、よりによって〝血まみれのメアリー〞かよ……。タクは心の中でつぶやいていた。

その不気味な響きのカクテルを、ミコトは両手でちょこんと可愛らしく持ち、ちょっとずつ、美味しそうに口に運んでいる。頬が少し薄紅色に染まっていた。

「タクさんが寝ている間に、色々マスターとお話してたら、私のイメージに合わせてこのカクテルを作ってくれたんです。笑っちゃうでしょ?」

ミコトは相変わらずニコニコしているが、タクの顔は引きつっていた。
(いや、笑えないな。それに寝てたんじゃなくて、気絶させられてたんだぜ!)
このミコトがどういう少女なのか、タクには全く理解出来ていない。

だが不思議なことに、その後、二人は何故かあっという間に意気投合したのだ。タクにも理由ははっきり分からなかった。ただ、この出会いはまるで、避けることの出来ない宿命のような気がしてならなかったのだ。