Slime Slime Slime

今日のあなたは 笑ってる?
それとも 泣いている?

もしもあなたが 泣いているのなら
すぐに飛び立ち
寄り添うための
翼が欲しいと願う

もしもあなたが 笑っているのなら
たとえ遠く離れていても
空を見上げて笑顔になれる

この空の下で……
繋がっているよ

* * * * * *

私、ミコト。見た目はまるで、ロールプレイングゲーム史上、最弱モンスターのスライム。つまり、とっても弱そう。だけど実は……? 知る人ぞ知る、百戦錬磨の最強女戦士。

向かうところ、敵は無し。返り血を浴びても、逃げキズは作らない。
いつもは天使、時々戦士。今宵は私と、不思議な夢を……。

「やっと会える……。あの人ならきっと、一緒に戦ってくれる。この世界を変えられるはずだわ。」
ミコトの息が、心なしか弾んでいた。酒場へと向かう足も、気付かないうちに加速していく。夜空では三つの一番星が輝き始めていた。

この日、二十歳になったばかりのミコトが初めて訪れたのは、さびれた村の外れにある、小さな古い酒場だ。この場所から、自分の運命が大きく動き出すことさえ、承知の上だった。