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「王家に伝わる4つの宝石が集まる時、伝説の剣は光を放ち、真の勇者の手によって引き抜かれるという。

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4つの宝石にはそれぞれに意味があり、神秘的な光をとき放つ深い青色をしたサファイヤには、平和の祈り。そしてエメラルドは、希望や幸福、夫婦愛と言った意味が込められている。ミコトの持つダイヤモンド、ルビーはこの王家の宝石のうちの二つであり、サファイアは伝説の剣にはめ込まれておる。

だが最後の宝石、エメラルドだけがどうしても見つからないのだ。妻に渡したはずのものが、ある日忽然となくなってしまった。真の勇者が現れたとしても、この王家のエメラルドが見つからなければ、伝説の剣は引き抜くことすら出来ないのだ。」

そこまで話し終わると、王はたまらずに二人を部屋から出した。城を離れ、久しぶりに町へ戻った二人は、真っ先にスライムカフェの様子を見に行った。

留守中、店はアルバイトの女性に任せきりだったのだ。二人が店の中へ入ると、何かがおかしい。すぐさまミコトが異変に気付いた。店で出迎えるはずのアルバイトの女性の姿はなく、スライム達の数も半分ほどに減っている。

残っていた数匹のスライム達が、ミコトを見るなり足元にすり寄って来た。

「ミコトさん、ボク達の仲間が……。」

スライム達は、シクシクと泣いている。

「一体、何があったの?」

ミコトは優しい声でスライム達に問いかけた。

「魔女に連れていかれちゃったよ。あの店員は、人間に姿を変えた魔女だったんだ。」

その言葉を聞いたとたん、ミコトの目が一瞬にして吊り上がった。タクも自分の耳を疑った。

(あの店員が……?)

スライム達はミコトに、一部始終を代わる代わる話している。

「最近、町の外にはボク達を食べようとするモンスターも多いんだ。」

最後の一匹のスライムがそう言い終わると、スライム達は、ミコトが帰って来て安心したのだろう、少しずつ落ち着きを取り戻していった。

「ミコトさん、どうしたらいい?」

スライム達がミコトの顔を、心細そうに見上げている。

「大丈夫よ。心配いらないわ。必ず、私が守るから。だって……、約束したもの。」

ミコトは足元にいるスライム達の頭を、一匹ずつ優しく撫でていた。

「約束って、誰としたんだよ……?」

タクが不思議そうな顔で、ミコトを見つめていた。

「タクさん、ここに残っているスライム達をお願いね。」

ミコトがタクに微笑んで言った。

「どこに行くつもり?」