膠原病リウマチ痛風センターの所長が、患者とその家族のために綴った「センター便り」をまとめた、心あたたまるエッセイを連載でお届けします。

2014年7月1日 IORRA調査

梅雨の真っただ中です。雨はすべての生物を育む源ですので、雨が降らないと困ります。

JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいな

また梅雨=雨季なのですから、この時期にまとまった量の雨が降るのは仕方がありません。しかし、バケツをひっくり返したようなどしゃ降りや、激しい雷に加えて大粒の雹ひょうまで降ってくるようでは、雨雲に対して恐怖や憎悪すら覚えます。

ただし、これだけ雨が降れば今年の夏は水不足を心配しなくてもよいでしょう。悪いと思うことにも、きっと何か良いことが伴っている。世の中はすべて二面的。そう思うと、雨雲に対しても少しは表情が緩む気がします。

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターでは、関節リウマチの患者さんに対してIORRAという調査を2000年から年に2回行っております。毎回30ページほどの調査用紙を外来でお配りして、患者さんにご記入いただき、郵送で回収しております。

お蔭様でほとんどの患者さんのご協力を得ることができ、郵送の回収率は毎回98%を超えています。この調査によりいろんなことが分かってきましたが、なかでも関節リウマチの患者さんの病状が年々改善していることが明確に示されたことは、とても重要なことでした。

調査を開始した2000年の時点では、重症の患者さんが20%、寛解と呼ばれるほぼ無症状になった患者さんはわずか8%でした。それが2013年の調査では重症の患者さんがわずか3%に減り、寛解状態の患者さんが50%を超えました。

過去13年間の薬物治療の進歩が大きく貢献していますが、実際にIORRA調査から得られた多くの情報を患者さんたちの治療に役立ててきたことが、このような改善につながったと思っています。通院中の患者さんには、今後とも引き続きIORRA調査にご協力をお願い申し上げます。