良くなりたいという気持ちが強い患者さんほど喜んでくれる。

以前から、IORRAに参加していただいた患者さんには、データの一部をレポートとしてお渡ししていますが、今年の4、5月に実施した調査のレポートから、寛解を達成した患者さんには「寛解」というスタンプを印刷することにしました。

「寛解」については以前もこの欄で述べました。治癒ではないけれど、病気がほぼ完全にコントルールできていて、この状態が続けば進行しない、関節も変形しない、という状態です。

寛解は現在のリウマチ治療の目標でもありますので、個々の患者さんに寛解であるということを伝えるために、レポートに「寛解」マークの印刷を始めたのですが、実際に患者さんに説明して手渡し始めると、多くの患者さんから意外なほど喜ばれることに少なからず驚きました。

今日もご主人と二人で涙ぐまれた患者さんもおられ、反響の大きさは正直言って予想外でした。

しかし、ちょっと考えてみると理解できました。患者さんには何とか良くなっていただこうと我々医師も努力しているつもりだけれど、患者さんが良くなりたいという気持ちにはとても及ばない。たぶん良くなりたいという気持ちが強い患者さんほど「寛解」のスタンプを見ると嬉しいのだろう、と。

こんな当然のことにどうして気付かなかったのかと反省しました。もっと早く「寛解」スタンプを入れるべきであったと残念に思いました。

関節リウマチは超慢性疾患です。病気と付き合う辛い月日の中で、レポートに「寛解」というスタンプが押されているのを見ると、梅雨空が晴れるような気持ちになっていただけるのだと思います。現時点では寛解に至っていない患者さんも、次回の調査時には「寛解」スタンプが印刷されるまでに軽快していただけるとよいですね。

7月後半になれば梅雨空も晴れ、暑い夏がやってきます。病魔もいつかは退散し、患者さんやご家族の顔が晴れ晴れとする日が来ますように、神頼みではなく、我々も力を尽くしたいと思っています。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。