Slime Slime Slime

ミコトは驚くタクのことなど気にも留めず、すぐに話を切り出した。

「タクさん、暗黒の王の話をご存知ですね? この世界が変わってしまった原因も……。暗黒の王を倒すことが出来れば、きっと世界は元に戻ると思うんです。どうか、一緒に戦って頂けませんか?」

タクの座っていた椅子が、ガタンと倒れそうになった。タクは自分の耳を疑い、ミコトに聞き返した。

「暗黒の王だって? どこでそれを……?」

影の世界を操る王……。だが、その暗黒の王の手によって、平和であったはずの、こちらの世界までもがおかしくなっていたのだ。

代々戦士であるタクの家に古くから伝わる書物によると、この暗黒の王の存在を知ることが出来るのは、たった二人だけのはずである。選ばれし者……。

それは、伝説の剣を引き抜くことが出来る真の勇者と、そして共に戦う戦士。残念ながらタクは、勇者ではない。戦士だ。そのことはタク本人が、一番よく分かっていた。

(……ということは、このか弱そうな女の子が真の勇者? そんなわけないだろ!)

何かの間違いだ、タクがそう思うのも仕方ない。真の勇者であれば、災いの元凶である暗黒の王を倒さなければならない使命を持っている。