入院告白

「アッキーママのお見舞いに行きたい、だめかなぁ?」
「無理だよ、精神科のお見舞いは原則、家族だけが面会できるんだってさ」
「どうして? どうしてなの? 家族だけが面会なの? アッキーはアッキーママのお見舞いに行ったの?」
「行ってないよ、もうすぐ退院してくるから。ひまりは心配しなくても良いから」

数日後の日曜日、アッキーはサッカーの部活だった。天気予報では晴れ時々曇りとなっていたのにずっと空は曇ったままだった。

アッキーの気持ちも晴れやかでない。この間、ひまりにアッキーママが入院していることを話した事がどこか心の中に引っかかっていた。

アッキー自身もお見舞いに行っていないことを、ひまりに𠮟られたような責められたような気持ちになっていた。アッキーママのお見舞いはアッキーパパが時々行っている様子だったから何も心配などしていなかった。

アッキーパパから『一緒に病院にお見舞いに行こう』と言われたこともなかった。そもそも、一カ月足らずで退院して帰って来るのだからお見舞いなんか必要ないとアッキーは思っていた。

元気になって病気も治り、今までの明るくておっちょこちょいのアッキーママに変身して帰って来るのだ。何も心配などしていなかった。

それなのにひまりがとても心配している、心配してくれているのだ。アッキーは自分はとても冷たい人間なのかなと思いながらサッカーの部活へと向かった。