空はまだ曇ったままだった。サッカーの部活が始まったがアッキーはミスばかりをして、コーチに何度か大きな声で怒鳴られた。

アッキーは何かわからないが胸騒ぎがして、気になって仕方がない。原因は、やはりアッキーママの入院をひまりに告白し、ひまりにアッキーママの病院の名前と場所を聞かれたことだ。

ひまりには精神科の面会は家族だけだと伝えた。ひまりがお見舞いに行っても会えないことはわかっているはずだから大丈夫だ。アッキーはそう自分自身を納得させようとしていたが、やはりどこか引っかかるものがあってサッカーに気合いが入らない。

そうだ、やっぱりひまりに連絡してみよう。もしかしたら病院を見に行くだけでもと出かけているかも知れない。

いろいろな思いがアッキーの心の中で渦をまいていた。サッカーのコーチには『ひどい腹痛がする』とお腹を抱えて訴え早退した。焦る気持ちのまま、ひまりに連絡したがなかなか通じない。

やっと声を聞けたかと思うとひまりはか細い声で、

「今、船橋駅、アッキーママの病院にいく途中なの」
「なにやってんだよ、面会できないんだぞ、勝手なことするなよ」
「わかってる。だからお手紙を書いたの、受付で渡すだけだから」
「病院は遠いぞ、場所はわかるのか? 一緒に行くから、おい、ひまり、聞いているか? 船橋駅のベンチに座って待ってろ、そこを動くな。俺が探すから、絶対に動くなよ」

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ずずず』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。