船橋駅

『ぽん』と後ろから肩をたたかれて、びっくりして振り向くと笑顔のアッキーがそこにいた。

ひまりを怒りもせずにただ笑って立っていた。アッキーママが今日、退院したからもう帰ろうと教えてくれた。すっかり良くなり元気になって帰ってきて、これから退院祝いをアッキーの家でするのだと聞いた。

もう、お見舞いの必要なんかないからと、ひまりにこれから一緒に行こうと誘ってくれた。せわしなく急いで帰ろうとするアッキーに、ひまりはお祝いに何かお花を贈りたいと伝えた。そんなに気を使わないで良いからとアッキーは言ったのだがひまりは一度言い出したら聞かないのである。

お花屋さんには、三、四人の客がいてそれぞれ花を選んでいた。ひまりはその人達をかきわけて店員さんに話しかけた。そして悩みもせずに一本の花を手に取った。淡いピンク色のスイトピーだった。

流れるようなフリルの花びらの模様は、どこかで見たような気がしているアッキーだった。なんとなく初めて見た印象では無かった。そんな思いをしながらひまりの選んだスイトピーを、アッキーはしげしげと眺めていたら、ひまりはアッキーママの大好きな花だと教えてくれた。

以前、アッキーの家に遊びに行った時に、アッキーママと一緒に飲んだティーカップの模様が、このスイトピーだとひまりは言って、とても嬉しそうで子供のようにはしゃいでいた。

そう言えばそのティーカップでダージリン紅茶を、よくアッキーにも淹れて出してくれていた。その花の名前は聞いたことはあるが、実際に花を手にしたのは初めてだった。