第2章 補助金の論理

3 グループ補助金

グループ補助金の正当性

私は、御両親と奥様がいまだに行方不明になっている、あるスーパー(総合食料品小売業)の社長を知っている。

その人はそのことはおくびにも出さず、津波で全壊した店舗を息子さんたちと再建し、グループの共同事業にも奔走している。グループの構成員はみなまじめに共同事業に取り組んでいるのだ。

でも何か無理がある、不自然な感じはぬぐえない。

なぜこのようなグループを組まないといけないのか。自発的なものであれば、それは他人がとやかくいうものではない。

しかし、明らかに自発的なものではない。そうしないと補助金をもらえないからグループを組んだのは明らかだ。補助金をもらうためのグループなのだ。

ではなぜ、補助金をもらうためにグループを組まないといけないのか。補助金はグループではなく個別企業に交付されるのだからグループは建前にすぎない。

なかには予期せぬ効果を上げている共同事業もあるが、グループを組んで共同事業を実施する事業者側でも、グループ、共同事業の審査をする国、県の側でも、多大の労力が消費、いや浪費されているのだ。