第2章 補助金の論理

3 グループ補助金

個別企業に交付される補助金であること

この補助金はグループ補助金と称しているので、あるグループに補助金が交付されるように思われるかもしれないが、補助金はそのグループの構成員である各企業に、個別に交付される。典型的な補助金Bだ。それなのに、なぜグループ補助金というのか。

それは、ある地域の中小企業がグループを組んで共同して何らかの事業を行い、その共同事業がその地域に貢献するものであること、あるいはそのグループのすべての構成企業の収益向上につながると国と県の審査で認定されれば、各企業の復旧がその共同事業の遂行に必要だとして、各企業に津波で流出、損壊した施設、設備の復旧のための補助金が交付されるからだ。

グループ補助金の正当性

しかし、私はグループを組んで共同事業を行わせることに疑問を持っている。2012(平成24)年に認定された「気仙沼市地域コミュニティ再生グループ」を例にとって考えてみよう。

これは気仙沼市内の主として小売店、飲食店、サービス業に従事している事業者229社(個人企業も含む)からなるグループだ。各企業はグループ補助金の交付決定を受けるためにさまざまな書類を県に提出しなければならないが、そのなかに「復興事業計画書」というものがあり、それには「グループ機能に与えた影響」という欄がある。

米や灯油を販売しているある会社は、その欄に「店舗が(津波で)流出したため以前の場所での営業再開ができず、自宅の物置を仮店舗としているため配達業務が滞り、グループ機能に支障をきたした」と書いていた。ほかの企業のその欄の記述も大同小異である。

つまり「被災して営業ができなくなったから地域に迷惑をかけた。早く復旧して地域に貢献するから補助金をください」というわけだ。それは理解できる。しかし、ある米穀販売店が営業できなくなったとしても、該当地域の人たちが全員迷惑をこうむるわけではない。