第3章 改正医療法(医療事故調査制度)成立への経緯

(1)厚労省第3次試案・大綱案と病院団体合意

・厚労省第2次試案の概要

2017年(平成19年)10月厚労省は、「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案」(第2次試案)を発表した。この第2次試案をみると、責任追及の構図が明瞭である。

第2次試案は、まえがきで、反省・謝罪、責任の追及、再発防止の全ての基礎になるのが、「原因究明」であると述べている。はっきりと「原因究明」を基礎として、反省・謝罪、責任追及と記載されているのである。「原因究明」して、責任追及、反省、謝罪に結びつける意図が明瞭である。

このように医療事故調査制度は、「責任追及の制度」としてスタートしたのである。ここで使用している「原因究明」とは、「原因糾明」のことと言っても言い過ぎではなかろう。

診療関連死の「死因究明を行う組織」、「届出制度の在り方」、「調査の在り方」等のとりまとめ部分は、責任追及と行政権限強化の仕組みを整えようとの趣旨が見え見えである。

即ち、「死因究明を行う組織」として、①調査権限を有する医療事故調査委員会を設置(厚労省内に設置を想定)。地方ブロック分科会を設置。②委員会の構成は、医療従事者(臨床医、病理医、法医等)、法律関係者、遺族代表で構成とあり、構成員の段階で、すでに、責任追及の意図が明白である。③地方ブロック分科会は、個別事例の評価、調査報告書の作成・決定。④分科会の下に置かれるチームも、解剖担当医、臨床医、医師以外の医療従事者、法律関係者、遺族代表の構成となっている。