私は非常に嬉しく、感謝の思いでいっぱいでした。何事も一生懸命努力することが信頼につながるということを身をもって知りました。

TOTOという会社には柔軟性があり、課長クラスには現場の判断で、ある程度物事を進めることができる決定権が与えられているのだと感じました。会社によっては上司の顔色ばかり見ている会社もあります。

上司に対して「報連相」は当然必要ですが、指示待ちだけでは自分で考える力が育ちません。そんな会社は失敗しても誰も責任を取らずに、自分の責任範囲を超えることについてはものを言いません。

弊社の社員には自分で考え、責任を持って行動する集団であってほしいと思っています。それがあっての「報連相」です。

TOTOの工務課の人たちと歓談する中で、私の出身校の後輩が数名いることがわかりました。工務課で設計や電気工事を担当している人でした。この人たちも私に大変よくしてくれ、その後も陰で支えてくれました。

その宴会の席には、私が父と鋼材を買いに行った時に断った会社の専務も来ていました。専務はその会社の社長の娘婿です。

私は「あんたんとこの社長から、五万円もないもんに、うちの鋼材は売られん、と言われたんよ」と言いました。専務は「本当に申し訳ありません、これからはうちの鋼材もよろしくお願いします」と言いましたが、私は「どんくらい悔しい思いをしたか、わかるかね」と言い返しました。

振り返れば、貧乏や口惜しさ、馬鹿にされたことなどが、すべて成長の糧になったように思います。私は父に感謝しています。父は身をもって私にそういったことを教えてくれたのです。