軽く食事をしようということになり、私はチャーハン(だったと思う)を頼み、彼女はカレーとチャーハンと他にケーキまで頼みました。初めてのデートだというのに、二人前頼むのです。私は変わった娘だなと驚きましたが、何も言えませんでした。

私があまり手紙の返事を出さないので、彼女は何か勘づいていたようで、「誰か好きな人がいますか?」と聞いてきました。私は見合いをしていることを話しました。

「どんな人? 名前を教えて」
「うん、君も知っている人だよ」

いずれわかることだと思い、名前を言いました。しばらく沈黙が続き、

「じゃあ、今日が初めてのデートでお別れのデートね」

彼女を駅まで見送ると、「これで終わりね、さようなら」と彼女は言いました。翌日、彼女から電話があり、「その人とだったら私はあきらめない、私と結婚したほうがあなたは幸せになれると思う」と言うのです。

私も彼女のことを好きになりかけていて迷っていました。見合いをした彼女からも手紙が来ます。きれいな字を書く頭の切れるおとなしい性格の人でした。

差しさわりのない返事を書いていたら、何となく彼女も気づいたようです。私も困って、しばらく両方に返事を出しませんでした。

※本記事は、2017年11月刊行の書籍『霧中の岐路でチャンスをつかめ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。