選択と義務

僕の家は三人家族である。僕と妻、それに発達障害を患う小学生の息子が一人。

僕はそこそこ名門といわれる大学を出た後、普通の会社に就職したのだが、毎日の仕事に疲れて、すぐに辞めてしまった。その後は、妻が仕事をしている。

しかし、家事を僕がしているわけではない。僕も罪悪感を覚えるので、なぜか遠慮する妻に、手伝うよと言って洗濯を担当するようになったが、時々怠けるようになって、洗濯をしなかった日に妻がすることがあり、しばらくするといつの間にか洗濯は妻の仕事に戻っていた。そして、僕が一日にすることは趣味の絵を描くか、何もせずに考え事をすることになっていた。

そんなある日のことである。妻が倒れてしまった。働きすぎである。そして彼女は入院することになってしまった。

僕は働けないので生活保護を受けることになり、家事も洗濯と掃除をぎりぎりできるくらいで、食事はカップラーメンばかりだった。

それから僕は、義務と悩むことの関係について考えるようになった。悩むことは大切である。悩んだ結果、得た答えはその人の生まれてきた意味である。

また、義務を果たすことも、それと同じくらいに大切である。義務とは、何か自分が選択したことに対して、責任を果たすことである。人間以外の生き物には義務はないのでこれは人間が生み出したものである。

例えば、自分は生まれてきてしまった以上、何かを食べていかなければ生きていけない。動物は食べ物を命懸けで手に入れるが、人間は何もしなくても手に入る。