アメリカでは、ある地域の住民が郡の行政サービスに飽き足らず、それ以上のサービスを求め、自分たちでそれを実現しようと自ら自治憲章を制定し、州がそれを認定すれば市や町ができる。

その際、日本のように3万人以上の人口を有しないと市として認められないということはないので、人口数百人の市もアメリカには存在する。一方で、地方自治体の存在しない地域もある。そこの住民は郡から直接サービスを受けることになる。

とにかく、アメリカでは住民が自由に地方自治体をつくるのでその数は非常に多い。総数は約8万7000と言われる。日本の地方自治体は、約1800なので桁違いに多い。

日本では平成の大合併と言われたほど地方自治体の合併が行われたが、それはもっぱら財政的な理由による。国の財政には限りがあるのだから支出する補助金は少ないほうがいい。日本の地方自治体の数は今後減少することはあっても増加することはないだろう。

他方、アメリカの地方自治体の数は横ばいで推移するだろう。アメリカ国民の約2割はどこの自治体にも属していないので、その人たちが新たに自治体をつくる可能性があるし、既存の自治体が破産して解散するかもしれないからだ。