セットリストNo.2(第二章)

14 White LineMelle Mel

翔一はMy Pointsに戻り、DJをしながら新二の話を思い出していた。

『俺としては、新二の頼みなら、きかない訳にはいかない、それは第一。でも、俺が今持ってるルートに流すなら安全を再優先に考えて、事を運ばなきゃ』

そんなことを考えながら、ターンテーブルに向かっている翔一に

「どうしたんすか? 今夜はノリが、悪いみたいですよ」

サブDJの山崎が心配そうに、声をかけた。翔一が顔を上げて、ダンスフロアーに視線を向けると、お店の中に居るゲストのうちの半分は座っていた。

「ふぅー」と、1つため息をついてヘッドホンを、山崎に渡しながら、「少し、休むよ」彼は、控え室に入っていった。ソファに、体をあずけてあれこれと、考えていた翔一は、『まずは状況を、把握しとこっかな』そう思って、彼は店を出た。

いま、自分と付き合いのある仲間のなかで、そのへんの事情に一番精通しているのは、おそらく片山だろう。奴の顔は意外に広い。

今夜、片山に会うなら原宿にあるCLUB-Hに行けば、いるはずだ。彼なら、知ってることを全部しゃべってくれるだろう。それを期待して、速攻、フィアットで原宿に向かった。

「どうしたの? 翔一君がこっちまで来るなんて、珍しいじゃん」

片山は機嫌よく翔一を迎えた。片山が座ったテーブルの向かい側に、翔一は腰をおろした。

「どんなことが、聞きたいの?」
「そう、まずはプライスだね、どのくらいの量で、いくらくらいで?ってこと」

翔一は、一番重要になる部分を率直に、質問した。

「うーん、だいたい1パケ(1パックの略語)0.3グラム入りで1万円ぐらいかなー」

それを逆算すると

「じゃぁ1グラムだったら、3万円ぐらいなの? 風袋込みで」

翔一が言った。

「でもねぇ、例えば10グラムとか、もうちょっと多くて、100グラムとかの単位で、取り引きできる場合は、もっとプライスダウンすると思うよ」