これを受け、大坪寛子医療安全推進室長は、鹿児島県での講演で、「外表異状説というものを、担当の医事課長から話をした」と述べ、田原克志医事課長発言を『外表異状説』と命名した。

田村憲久厚労大臣は、国会で、「医師法第21条は、医療事故等々を想定しているわけではなく、これは法律制定時より変わっていない」と述べ、「医師法第21条は、死体又は死産児については、殺人、傷害致死、死体損壊、堕胎等の犯罪の痕跡を止めている場合があるので、司法警察上の便宜のためにそれらの異状を発見した場合の届出義務を課している」と答弁している。

厚労省は二〇一五年度版死亡診断書記入マニュアルにおいて、「異状死体」と「異状死」を明確に区別する改訂を行い、二〇一四年度版で記載していた「(注)『異状』とは『病理学的異状』ではなく、『法医学的異状』を指します。『法医学的異状』については、日本法医学会が定めている『異状死ガイドライン』等も参考にしてください」との文言を削除した。

また「外因による死亡またはその疑いのある場合には、異状死体として24時間以内に所轄警察署に届出が必要となります」との文言も削除した。

経過の異状である「異状死」と外表の異状である「異状死体」を明確に区別した適切な記載となったのである。