溝口:ある学者が50年ぐらい前に日本人の毛髪の中に含まれる水銀量は世界一だと言ったのですが、これも何も手つかずといった具合です。水俣病の例を見ればわかると思いますが、水銀が招く身体への影響は計り知れません。脳神経系や人格障害の原因にもなりかねないのです。

欧米の内情やシステムが変わろうと、利権の問題がどうであろうと、衣・食・住と医療だけは保証される国でないと。高齢者の問題だってそうです。年金生活者が安心して暮らせるように保証してあげる。弱者が守られる社会を作ることが最優先改革です。構造改革とはこういったものから優先的にやるべきです。

実際、構造改革なんて年次改革要望書をアメリカから突きつけられてやっただけの話。安倍首相が就任時に掲げた目標の介護離職率や待機児童の改善、物価指数2%の上昇など、何一つ達成できずに先延ばししているのが現状。

国民にはいろんなことを言って三本の矢だとかバズーカ砲を撃ち込んできましたけど、結果は無残。日本国民の大事な国民貯蓄(1500兆円)がアメリカへ流れるようなシステムができただけ。これが構造改革の実体です。

中村:私から見ていても、日本はいろんな国の言いなりになっているように見えてしまうんですが……。

溝口:譲歩するのと言いなりとでは意味合いが違いますからね。どこの国にも真似のできないスーパー医療国家を目指せばいいんです。頭を使えば財政的にもできないことはないです。以前、民主党政権時にやった事業仕分けは非常に良かったんですけどね。利権に絡む人たちにとっては都合が悪いでしょうけど。

政権自体に決定権、権限がなかったので、民主党政権時は頓挫しましたが、あれはいい企画でありいい試みだったと思います。是が非でも決定権、権限を与党に委ねて、経費削減、無駄遣いを改善し、スーパー医療国家の確立にその予算を充当してほしいものです。

そして、消費税とは別に特別医療税というものを設けて、全国民が健康であるための医療を安心して受けられるようにしていくべきです。家族への愛情、大切なお金、そういったものとは別にあなたにとって一番大事なものは何ですか?と問うたら、ほとんどの人が命や健康と答えるはずです。

だったら、全国民が一番大切にしているものを最優先にした国家作りをしていけばいいんですよ。財政の骨組みもここを中心に予算を試算していけば、おのずと無駄なものを削減していかなければ医療財源が確保できないという動きになります。そういうところはオンリーワンであってもいいと思いますけどね。

これは理想論や空想ではなく現実論です。食の安全と医療の保証を成し遂げる首相が出てくれたらと思います。厚生労働省のデータによると平成29年度の食糧自給率に関しては38%まで落ち込んでいますしね。

中村:問題が多すぎますね。