「とりあえず医療」が患者の体を悪化させる

溝口:そういえば、高校駅伝の強豪チームが貧血治療の一環で選手たちに鉄剤注射を打たせたとして問題になりましたよね。女性の大学生が高校時代のことを訴えていました。

駅伝の選手である前にこれから結婚して子供を産む可能性のある大事な体ですよ。鉄剤注射を過剰に投与されると体内に鉄分が蓄積され、肝機能障害などを引き起こしますし、鬱になる可能性もあるんです。監督が勧めて、医者がそれに応じた。

そして、その医者は「肝臓に悪いと知っていて打っていた」と証言している。これぞまさしく無責任な御用聞き医療です。「とりあえず医療」と「御用聞き医療」はイコールですからね。

中村:ひどい話ですね。お医者さんの食事療法や運動療法の活用が十分じゃない、お医者さんの安易な医療意識に問題があるという例ですね。だんだんと、私も現実がわかってきました。

溝口:たとえば、血糖値の高い糖尿病患者にも変な固定概念が存在しています。一度、インスリンの注射を打ち始めたら一生打ち続けなければならないと思い込んでいる医者や患者がいます。食事療法や運動療法などでうまくいけば、インスリンの注射を止めることも可能な患者もいるんです。

糖尿病患者の発生機序(Ⅰ型、Ⅱ型)はご存じの方も多いので割愛しますが、改善という方法論で考えるとインスリンを出しやすくするか、食べたものの血糖上昇を抑えるか。大まかに言うとこの二つです。

まずは食事からお話ししましょう。糖尿病患者はイヌリン、タンパク質、酵素、ビタミン、ミネラルを絶妙な配合で構成したものを摂取することが大事です。特にイヌリンという成分が血糖値降下作用に大きくかかわることがわかっていて、その成分は菊イモという野菜に多く含まれていると言われています。イヌリンは胃に到達すると水分を吸収してゲル状になり糖質を吸着します。また、イヌリンは体内に吸収されにくいという特徴を持っています。

中村:それで血糖値が上がりにくくなるのですね。