第1章 なぜマスクをつけるの?
 

1 マスクの漏れを知ろう

人それぞれにマスクの着用目的があるかとは思いますが、まずはマスク本来の機能について考えてみましょう。
皆さんはマスクの漏れと聞いて、何かピンとくるでしょうか。

マスクフィルターの穴の大きさによって、外部からの粒子が通る通らない、マスクと顔に隙間があるかないか、または、マスクの布地に厚みがあればよい、などといった誤った解釈も含め、一般的にはこういったことが思い浮かびますが、そもそもマスクの漏れということを気にしてマスクを使用する人は、ほとんどいないのが実情です。

本書では、大気汚染物質(PM2.5や花粉を含む)や、風邪やインフルエンザの原因となる菌やウイルスなどから身を守ること、すなわち自己防護を目的としたマスクの着用に主眼を置いて解説をしていきます。

本書でいうマスクの漏れとは、外(本書では空気中のこと)の粒子がマスクの内側に入り込んでいる状態を指し、それを数値化することによって、より明確に、マスクの着用法とその正誤性を皆さんに理解していただければと思います。

風邪の予防や、花粉や粒子の取り込みを防ぐことを期待してマスクを着用する場合は、当然のことながら、外の粒子をいかにマスクの内側に入れないかが重要になります。

ゆえに、現状を把握するため、マスクの外に浮遊している粒子の数と、着用したマスク内の粒子の数をそれぞれ計測し、どれだけ外の粒子がマスクの内側に入り込んでいるのかを統計解析してみました(本書ではこれを数値で表したものを漏れ率といい、その計測方法は第3章で解説しています)。

下のグラフ(図1)は、ドラッグストアやコンビニなどで購入した『衛生マスク』を着用した、225人のマスクの漏れ率の調査結果です。

漏れ率の平均は86.3%で、全員が外の粒子をマスクの内側に取り込んでしまっている現状がよくわかります。特に、漏れ率100%(全く防ぐことができていない)の人が126人いました。

ここで問題となるのは、マスクのフィルターの性能と、着用時のマスクと顔との隙間です。続いて、マスクの周りを押さえるという指導をした後に計測をしてみました。

すると、平均して約20%の漏れ率を下げることができるという結果が出ました。顔とマスクの隙間を意識するだけで、いくらか外部粒子の取り込みを防ぐことができたのです。

しかしながら、それでも合格ラインには程遠いという結果でした(図2)。


市販されているマスクについて見てみると、パッケージには「黄砂や花粉、PM2.5から身を守る」と記載されており、店頭にも感染予防と堂々とうたって置いてあります。

しかしながら、「これは、侵入を防ぐものではありません」「感染を防ぐものではありません」とも記載してあります。このように、着用効果に矛盾が生じる記載に気づいた方もいらっしゃるでしょう。

日本衛生材料工業連合会の『表示・広告自主基準』には、家庭用マスクについて「マスクは感染を完全に防ぐものではありません」と、8ポイント以上の大きさの文字で記載するようルールが定められています。

製造者側もこういった漏れ率の結果に対し、今後どういった対応を取っていくのでしょうか。マスクを買う側は、身を守れることを期待して購入しています。マスクはフィルターの性能だけではなく、着用目的と着用方法を明示して販売する必要があると考えるのです。

マスクについての正しい知識と理解を持ち合わせていない社会が、その機能を十分に発揮させていないともいえるのではないでしょうか。

※本記事は、2019年11月刊行の書籍『マスクの品格』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。