発達障がいの代表的な症例

自分の子育てが悪いのかと悩む母親

ただし、この時点ではまだ親御さんには自閉スペクトラム症とは告知していません。いきなり本題に入るよりも、まず親御さんが心配していることから説明してあげた方が親切だからです。C君の場合、最初に挙げた言葉が出ないことが心配なので、その原因として何があるかをまず説明します。

「言葉が遅れている原因の検索をまずしなければなりません。一番心配なのは、難聴です。寝かせて行う聴性脳幹反応(ABR)という検査を受けてみてください。もし難聴であれば、補聴器で改善することが可能です。治せる病気でも、早く見つけなければ手遅れになります。それから脳波やMRIなど脳の検査も必要です。さまざまな病気が原因で言葉が出なくなることがあるため、採血も必要となります。これらの検査で異常がなければ、また相談に来てください」

言葉の遅れの原因となる疾患は、難聴以外にも知的発達症(精神遅滞)、自閉スペクトラム症の合併症としての知的発達症、特発性言語遅滞、養育環境・心因性、低体重出生、脳性麻痺の合併症としての知的発達症、口蓋(こうがい)裂、構音障がいなどさまざまなものがあります。

原因を突き止めるためにはどうしてもさまざまな検査が必要となってきます。

ここで保健師が「先生、今の時点で何か診断はつきますか?」と尋ねてきました。

「これらの検査で異常がなければ、多動、自己中、マイペース、車に対する知識、ミニカーを綺麗に並べるこだわり、言葉の遅れなどから、知的発達症を伴った自閉スペクトラム症だと思われます。乳幼児期に、C君は1歳前から人見知りをせず、ご両親の後追いをしなかったそうですが、これは、C君がすでに1歳前の乳児期から症状が出ていたことを示しています」