医療・教育・保健・福祉の「4つの葉」

教育の中にも同じく四つ葉があります。

【人気記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない

「本学級担任」、「特別支援学級担任」、「校長・教頭」、「教育委員会」の「4つの葉」です。

特に、現場で苦労しているのが、本学級の担任と特別支援学級の担任です。いろいろな問題を抱えて孤立してしまうケースもあり、幹部である校長らの助けがないと、最悪の場合、担任がうつ病にまで進展し、最終的には退職してしまいます。

校長の理解が得られなければ、勇気をもってできるだけ早く市の教育委員会と連携して問題解決の糸口を見つけていく必要があります。

このように、現場の教師と教育幹部の密なコミュニケーションこそが、発達障がいのお子さんを教育する上では必要なのです。

さらにそこに保健室の養護教諭と校医が加わることで、現場の教師が小児科医や専門医とも連携しやすくなるのです。

私が講演で必ず紹介するスライドがあります。それは国境なき医師団から送られてきた1枚の写真入りのチラシです。そこにはインド人の母親が、感染症で寝込んでいるわが子に何もしてあげられなくて、ただ横に座って見ている姿が写っています。

そのチラシには、顧みられない病気(Neglected Disease)とあります。対策から取り残された「顧みられない病気」に国境なき医師団の取り組み方が紹介されていました。

私はこのチラシを見るたびに、この恵まれた国日本において「発達障がい」が顧みられないものの一つになっているのかもしれないと考えさせられるのです。

そうならないためにも本書を読んだみなさんが中心となって、発達障がいに携わっていて困っている方々へ、この本で読んだ知識の一部でも伝えていただければ幸いです。

親御さんや親戚、教師、塾や習い事の先生方を始めとする、さまざまな人びとが、発達障がいについて学びそして理解し、発達障がいのお子さんたちをサポートしていければいいのです。

担任やかかりつけ医と相談しながら、児童相談所、就学前なら地域の保健師とも相談しつつ4つのスクラムを強固にしていくことができれば、自ずと、発達障がいに悩む方々も減ってくるのではないかと思っています。